親知らずが生えてきたらどうする?放置リスクと対処法

こんにちは。
歯科医師で口腔ケア専門ライターの中原志保です。

皆さんは、「親知らず」と聞くとどんなイメージをお持ちでしょうか。
「痛い」「抜くのが怖い」といった声もよく耳にします。

でも、そもそも親知らずはなぜ生えてくるのでしょう。
実は、親知らずが生えること自体は、私たちの体が持つ自然な仕組みの一つなのです。

ただ、現代人の顎の大きさや食生活の変化から、親知らずがまっすぐ生えるスペースが足りず、様々なトラブルの原因になることも少なくありません。

この記事では、長年の臨床経験と、多くの生活者の方々にお話を伺ってきた私の視点から、親知らずについてやさしく解説していきます。

親知らずを放置することでどんなリスクがあるのか、そして、いざという時に慌てないための賢い対処法について、一緒に見ていきましょう。
この記事を読み終える頃には、親知らずへの漠然とした不安が、具体的な知識と安心に変わっているはずです。

親知らずとは?まず知っておきたい基礎知識

まずは、親知らずがどんな歯なのか、基本的なところから押さえておきましょう。

親知らずの位置と特徴

親知らずは、専門用語では「第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)」や「智歯(ちし)」と呼ばれています。

歯列の一番奥、つまり前から数えて8番目に生えてくる永久歯です。
通常、上下左右に1本ずつ、合計で4本生える可能性がありますが、元々親知らずがない方や、4本揃わない方もいらっしゃいます。

親知らずの大きな特徴は、他の歯と比べてまっすぐ生えてこないことが多い点です。
顎のスペースが足りないと、斜めに傾いたり、横向きに埋まったままだったり(これを専門的には「水平埋伏智歯」と言います)、歯茎から一部だけ顔を出したり(「半埋伏」と言います)することも珍しくありません。

生える時期と個人差

親知らずが生えてくる時期は、一般的に10代後半から20代前半、だいたい17歳から25歳頃と言われています。
他の永久歯が15歳くらいまでに生え揃うのに比べると、かなり遅れて生えてくるのが特徴ですね。

「親が知らないうちに生えてくる歯」だから「親知らず」という名前がついた、なんて説もあるんですよ。

ただ、この生える時期には非常に個人差が大きいです。
30代や40代になってから、ひょっこり顔を出すこともありますし、一生涯、歯茎の中に埋まったままの方もいらっしゃいます。

現代人にとっての「不要な歯」?

昔の人々は、硬い木の実や生の穀物など、現代よりもずっと硬いものを食べていました。
そのため、しっかりとした顎を持ち、親知らずも他の歯と同様に食べ物をすり潰すために重要な役割を果たしていたと考えられています。

しかし、現代の私たちの食事はどうでしょうか。
柔らかく調理されたものが増え、昔ほど強い力で噛む必要がなくなりました。

その結果、現代人の顎は昔の人に比べて小さくなる傾向にあり、親知らずがきちんと生えるためのスペースが不足しがちです。
スペースがないところに無理に生えようとすると、様々なトラブルを引き起こしやすいため、「不要な歯」「厄介な歯」と言われてしまうことがあるのです。

放置するとどうなる?親知らずのリスクと影響

では、親知らずをそのままにしておくと、具体的にどのような問題が起こりうるのでしょうか。
いくつかの代表的なリスクを見ていきましょう。

炎症・腫れ・痛みの原因に

親知らずが原因で起こるトラブルとして最も多いのが、「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」です。

これは、親知らずが完全に生えきらず、歯茎の一部が被ったような状態(半埋伏)のときに起こりやすい炎症です。
歯と歯茎の間に食べカスや細菌が溜まりやすくなり、そこが感染することで歯茎が赤く腫れたり、ズキズキとした痛みが出たりします。

特に、疲れが溜まっているときや、風邪などで体の抵抗力が落ちているときに症状が出やすい傾向があります。
ひどくなると、口が開きにくくなったり、顔が腫れたりすることもあります。

また、親知らず自体が虫歯になってしまい、それが進行して神経に達すると、強い痛みを引き起こすこともあります。
一番奥にあるため歯ブラシが届きにくく、知らず知らずのうちに虫歯が進行しているケースも少なくありません。

隣の歯や噛み合わせへの悪影響

親知らずの問題は、親知らず自身にとどまらないことがあります。

例えば、親知らずが斜めや横向きに生えてくると、その手前にある健康な歯(第二大臼歯)を圧迫することがあります。
この圧迫が続くと、手前の歯の根が溶けてしまう「歯根吸収」という深刻な状態を引き起こすことも。
こうなると、健康だったはずの歯まで失ってしまうリスクが出てきます。

また、親知らずが手前の歯を前方に押し出すことで、全体の歯並びが乱れてしまうこともあります。
特に前歯がガタガタになってきた、というお悩みで受診される方の中には、親知らずが原因だったというケースも。

さらに、親知らずが不適切な位置や角度で生えることで、上下の歯の噛み合わせが悪くなることもあります。
噛み合わせのバランスが崩れると、特定の歯に過度な負担がかかったり、顎の関節に負担がかかって顎関節症(口を開けると痛い、音が鳴るなど)を引き起こしたりする可能性も指摘されています。

引用ブロックの例:歯科医師の視点
「親知らずは、ご自身では見えにくい場所にあり、気づかないうちに隣の歯に悪影響を及ぼしていることがあります。定期的な歯科検診でレントゲンを撮り、状態を確認することが非常に大切です。」

口臭や虫歯、歯周病リスクの増加

親知らずの周囲は、歯ブラシが届きにくく、非常に汚れが溜まりやすい場所です。

この磨き残されたプラーク(細菌の塊)が、口臭の直接的な原因になることがあります。
また、智歯周囲炎や虫歯が進行すると、膿が出たり、細菌が作り出すガスによって、さらに口臭が強くなることも。

そして、親知らず自身が虫歯や歯周病になりやすいのはもちろんのこと、その汚れが隣接する健康な歯にも影響を及ぼし、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまうのです。
「親知らずのせいで、手前の大切な歯までダメにしてしまった」という事態は避けたいですよね。

全身の健康にも影響する可能性

お口の中の問題は、実はお口の中だけに留まらないことがあります。

親知らずの周囲で起きた炎症(智歯周囲炎など)が悪化すると、細菌が血液の流れに乗って全身に運ばれてしまうことがあります。
稀なケースではありますが、心臓の病気(心内膜炎など)や腎臓の病気など、他の臓器に影響を及ぼす可能性もゼロではありません。

また、炎症が顎や喉、首の方へ広がると、発熱や倦怠感、リンパ節の腫れといった全身症状が現れることもあります。
重症化すると、喉がひどく腫れて呼吸が苦しくなることさえあるのです。

このように、たかが親知らずと侮っていると、思わぬところで全身の健康にも関わってくることがあるのです。

抜くべき?様子を見るべき?判断のポイント

「じゃあ、親知らずはやっぱり抜いた方がいいの?」と思われるかもしれませんね。
でも、必ずしも全ての親知らずを抜かなければいけないわけではありません。
抜歯が勧められるケースと、経過観察で問題ないケースについて見ていきましょう。

抜歯が勧められるケース

以下のような場合には、歯科医師から抜歯を勧められることが一般的です。

  • 1. 繰り返し炎症や痛みが起こる場合
    • 智歯周囲炎を何度も繰り返している。
  • 2. 虫歯になっている、またはなりかけている場合
    • 親知らず自体が虫歯になっている。
    • 清掃が非常に難しく、将来的に高い確率で虫歯になると予測される。
  • 3. 隣の歯に悪影響を及ぼしている場合
    • 親知らずが斜めや横向きに生えて、隣の歯を押している。
    • 隣の歯との間に汚れが溜まりやすく、隣の歯が虫歯や歯周病になるリスクが高い。
    • 隣の歯の根を溶かす「歯根吸収」の兆候が見られる。
  • 4. 清掃が著しく困難な場合
    • まっすぐ生えていても、歯ブラシが全く届かず、清潔に保つことができない。
  • 5. 噛み合わせに問題がある場合
    • 親知らずが原因で、全体の噛み合わせが悪くなっている。
    • 噛み合う相手の歯がなく、親知らずだけが伸びてきて、向かいの歯茎や頬の粘膜を噛んで傷つけている。
  • 6. 嚢胞(のうほう)の原因になっている場合
    • 親知らずの周囲に、液体が溜まった袋状のできもの(嚢胞)ができている。放置すると大きくなり、顎の骨を溶かすことがあります。
  • 7. 矯正治療を予定している場合
    • 歯を動かすためのスペース確保や、治療後の歯並びの後戻りを防ぐ目的で抜歯することがあります。

経過観察でも問題ないケース

一方で、以下のような場合には、すぐに抜歯せず経過観察となることもあります。

  • 親知らずがまっすぐに生えていて、上下の歯できちんと噛み合っており、食事の際に機能している。
  • 歯ブラシがしっかり届き、清掃状態も良好で、虫歯や歯周病のリスクが低い。
  • 親知らずが完全に顎の骨の中に埋まっていて(完全埋伏歯)、レントゲン写真で確認しても、隣の歯や神経に悪影響を与えていない。
  • 痛みや腫れなどの自覚症状がなく、将来的に問題を起こす可能性が低いと歯科医師が判断した場合。
  • 将来的に、他の歯がダメになった場合に、移植歯として利用できる可能性がある場合。

ただし、経過観察と判断された場合でも、定期的な歯科検診は必須です。
状態が悪化していないか、歯科医師にチェックしてもらうことが大切ですよ。

歯科医の判断を仰ぐ際のチェックポイント

歯科医師に親知らずについて相談する際には、以下のような点を伝えると、より的確なアドバイスが得られやすくなります。

チェック項目具体的な内容
現在の症状痛み、腫れ、違和感、食べ物が挟まりやすいなど、自覚症状があれば具体的に伝える。
過去のトラブル歴これまでに親知らずで痛みや腫れが出たことがあるか、その頻度や程度。
全身状態・服薬状況持病の有無、妊娠の可能性、服用中の薬(特に血液をサラサラにする薬など)。
生活習慣・今後の予定喫煙習慣の有無、近々大きなイベント(試験、旅行、結婚式など)があるか。
希望や不安抜歯に対する希望(できれば抜きたくない、早く抜きたいなど)、不安なこと。

これらの情報を伝えることで、歯科医師はあなたの状況に合わせた最適な治療計画を立てやすくなります。
遠慮せずに、気になることは何でも質問してみましょう。

抜歯を選んだ場合の流れと注意点

もし、歯科医師と相談の上で親知らずの抜歯を決めた場合、どのような流れで進むのでしょうか。
一般的な流れと注意点についてご説明します。

事前の検査と説明

まず、抜歯の前にはしっかりとした検査が行われます。

  • 問診: 現在の症状や体調、これまでの病歴、アレルギーの有無、服用中のお薬などを詳しく伺います。
  • 口腔内診査: 親知らずの生え方や歯茎の状態を直接確認します。
  • レントゲン検査: パノラマレントゲンでお口全体の骨の状態や親知らずの位置、根の形などを把握します。
    場合によっては、より詳細な情報を得るためにCT検査を行うこともあります。特に下の親知らずの場合、顎の中を通る太い神経(下歯槽神経)との位置関係を精密に確認するために重要です。

これらの検査結果をもとに、歯科医師から以下のような説明があります。

  • 親知らずの現在の状態
  • なぜ抜歯が必要なのか
  • 抜歯の具体的な手順(麻酔の方法、手術時間など)
  • 抜歯に伴うリスクや合併症の可能性(痛み、腫れ、神経麻痺など)
  • 抜歯後の注意点
  • おおよその費用

この「説明と同意(インフォームド・コンセント)」は非常に大切です。
分からないことや不安なことがあれば、納得できるまで質問し、十分理解した上で抜歯に臨むようにしましょう。

抜歯当日の流れと痛みのコントロール

いよいよ抜歯当日です。
緊張するかもしれませんが、歯科医師やスタッフがサポートしてくれますので安心してくださいね。

抜歯当日の一般的な流れ

  1. 体調確認・最終同意
  2. 麻酔: まず、注射のチクッとした痛みを和らげるために、歯茎の表面に塗る麻酔(表面麻酔)をします。その後、抜歯する歯の周囲に注射で麻酔薬を注入します(局所麻酔)。麻酔がしっかり効けば、処置中に痛みを感じることはほとんどありません。
  3. 抜歯処置: 親知らずの生え方によって、処置内容は異なります。
    • まっすぐ生えている場合は、比較的簡単に抜けることが多いです。
    • 横向きに埋まっている場合などは、歯茎を切開したり、歯をいくつかに分割したり、周囲の骨を少し削ったりして取り出すことがあります。
  4. 洗浄・縫合: 抜歯した穴をきれいに洗浄し、必要に応じて糸で縫合します。
  5. 止血: 清潔なガーゼを噛んでいただき、圧迫して止血します(通常20~30分程度)。
  6. 術後の説明・投薬: 抜歯後の注意点について再度説明があり、痛み止めや抗生物質(化膿止め)が処方されます。

処置時間は、簡単なケースでは数分~20分程度、複雑なケースでは30分~1時間以上かかることもあります。

痛みのコントロール

「抜歯は痛い」というイメージが強いかもしれませんが、痛みを最小限に抑えるための工夫がされています。

  • 術中: しっかりと局所麻酔を効かせますので、処置中に痛みを感じることは稀です。もし途中で痛みを感じるようなことがあれば、遠慮なく歯科医師に伝えてください。
  • 術後: 麻酔が切れてくると、だんだん痛みが出てきます。
    • 鎮痛剤の服用: 歯科医師の指示に従い、麻酔が完全に切れる前(抜歯直後など)に処方された鎮痛剤を服用するのがポイントです。痛みが強くなる前に飲むことで、痛みのピークを和らげることができます。
    • 冷却: 抜歯当日から翌日にかけて、腫れている部分の頬側を冷やすと、痛みや腫れを軽減する効果があります。ただし、冷やしすぎは血行を悪くして治りを遅らせることもあるので、濡れタオルや冷却シートなどで断続的に冷やすのが良いでしょう。

抜歯後の過ごし方とトラブル対策

抜歯後は、安静に過ごすことが大切です。
いくつか注意点と、万が一トラブルが起きた場合の対策についてお伝えします。

  • 食事: 麻酔が切れてから、刺激の少ない柔らかいもの(おかゆ、うどん、ゼリーなど)を選びましょう。硬いものや熱いもの、香辛料の強いものは避けてください。
  • 入浴・運動: 当日は長時間の入浴や激しい運動は避けましょう。血行が良くなりすぎると、再出血したり腫れがひどくなったりすることがあります。シャワー程度なら問題ありません。
  • 飲酒・喫煙: 飲酒は血行を促進し、喫煙は傷の治りを遅らせるため、抜歯後数日間は控えるのが賢明です。
  • うがい: 当日は強いうがいをしないようにしましょう。抜歯した穴には血餅(けっぺい)という血の塊ができ、これがかさぶたの役割をして傷の治りを助けます。強いうがいをすると血餅が剥がれてしまい、治りが悪くなったり、「ドライソケット」という強い痛みを伴う状態になったりすることがあります。
  • 歯磨き: 抜歯した部位を避け、他の歯は通常通り丁寧に磨きましょう。傷口が落ち着いてきたら、歯科医師の指示に従って、抜歯部位も優しく磨き始めてください。
  • 薬の服用: 処方された抗生物質は、症状がなくても必ず指示通り最後まで飲み切ってください。痛み止めは、痛むときに服用しましょう。

起こりうるトラブルと対策

  • 痛み・腫れ: 通常、痛みは抜歯後2~3日、腫れは3~4日程度がピークで、その後徐々に引いていきます。処方された鎮痛剤を服用し、患部を冷やしましょう。あまりにも痛みが長引く場合や、腫れがひどくなる場合は、歯科医院に連絡してください。
  • 出血: 唾液に血が混じる程度の出血は、抜歯後1~2日続くことがあります。清潔なガーゼを丸めて抜歯部位に置き、20~30分しっかり噛んで圧迫止血してください。それでも多量の出血が止まらない場合は、歯科医院に連絡しましょう。
  • ドライソケット: 抜歯後数日経ってから、ズキズキとした強い痛みが出てくることがあります。これは血餅が剥がれて骨が露出してしまう状態で、非常に強い痛みを伴います。予防のためには、強いうがいをしない、患部を舌や指で触らない、喫煙をしない、といった注意点を守ることが大切です。もしドライソケットが疑われる場合は、我慢せずに歯科医院を受診してください。適切な処置をすることで痛みは和らぎます。
  • 神経麻痺: 下の親知らずの抜歯の場合、ごく稀に下唇や顎、舌にしびれが出ることがあります。多くは一時的なもので、時間とともに回復しますが、症状が続く場合は歯科医師に相談しましょう。

抜かずに済む?親知らずとの付き合い方

全ての親知らずを抜く必要がないことはお伝えしましたが、では「抜かない」と判断された親知らずとは、どのように付き合っていけば良いのでしょうか。

正しいセルフケアの方法

親知らずを残す場合、最も重要なのは徹底した清掃です。
一番奥にあって磨きにくい場所だからこそ、特別なケアが必要になります。

  • 歯ブラシの工夫:
    • ヘッドの小さい歯ブラシを選びましょう。奥まで届きやすくなります。
    • 毛先が細いものや、山切りカット、ドーム型など、親知らずの複雑な形にフィットしやすいものがおすすめです。
  • 磨き方のコツ:
    • 鏡を見ながら、歯ブラシがきちんと親知らずに当たっているか確認しましょう。
    • 親知らずの「奥の面」や「頬側の面」は特に磨き残しやすいポイントです。歯ブラシを斜め横から入れたり、少し口を閉じ気味にして頬のスペースを作ったりして、工夫して磨きましょう。
  • 補助清掃用具の活用:
    • タフトブラシ(ワンタフトブラシ): 毛束が一つになった小さなブラシで、親知らずの周りや、通常の歯ブラシでは届かない細かい部分をピンポイントで磨くのに非常に有効です。
    • デンタルフロス: 親知らずと手前の歯の間は、特に汚れが溜まりやすいので、フロスを通してプラークをしっかり取り除きましょう。
    • 歯間ブラシ: 歯と歯の間に隙間がある場合は、歯間ブラシも効果的です。

これらの道具を使いこなし、毎日のセルフケアを丁寧に行うことが、親知らずを健康に保つための鍵となります。

定期検診の重要性

セルフケアをどんなに頑張っても、どうしても磨き残しは出てしまうものです。
また、親知らずの状態は時間とともに変化することもあります。

そのため、親知らずを残している場合は特に、歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアとチェックが欠かせません。

定期検診で何をするの?

  • 親知らずやその周りの歯茎の状態チェック(虫歯、歯周病、炎症の有無など)
  • レントゲン撮影による内部の状態確認(数ヶ月~1年に1回程度)
  • 専門的なクリーニング(PMTC):普段の歯磨きでは落としきれないプラークや歯石を徹底的に除去します。
  • 歯磨き指導:磨き残しが多い部分を指摘し、より効果的なセルフケア方法をアドバイスします。

検診の頻度は、親知らずの状態やリスクによって異なりますが、一般的には3ヶ月~半年に1回程度が目安です。
歯科医師と相談して、あなたに合ったペースで定期検診を受けるようにしましょう。

痛みが出たときの一時的な対処法

もし、親知らずに急に痛みが出てしまった場合、歯科医院を受診するまでどのように対処すれば良いでしょうか。
あくまで一時的な応急処置ですが、いくつか方法があります。

  1. 患部を冷やす: 炎症による腫れや痛みを和らげる効果があります。冷却ジェルシートや、氷を入れたビニール袋をタオルで包んだものなどを、痛む側の頬に当てましょう。
  2. 市販の鎮痛剤を服用する: 用法・用量を守って服用してください。ただし、これは痛みを一時的に抑えるだけで、原因を治すものではありません。
  3. 口の中を清潔に保つ: 食後はうがいをしたり、柔らかめの歯ブラシで優しくブラッシングしたりして、食べカスやプラークを取り除きましょう。痛む部分を無理にゴシゴシ磨くのは避けてください。
  4. 安静にする: 疲労やストレスは免疫力を低下させ、炎症を悪化させることがあります。十分な睡眠と休息を心がけましょう。
  5. 刺激物を避ける: 飲酒、喫煙、熱いものや辛いものなどの刺激物は、痛みや腫れを悪化させる可能性があるので避けましょう。

これらの対処法は、あくまで歯科医院を受診するまでのつなぎです。
痛みが続く場合や、繰り返し起こる場合は、自己判断せずにできるだけ早く歯科医院を受診してくださいね。

まとめ

親知らずは、その生え方や状態によって、私たちのお口の健康に様々な影響を与える可能性があります。

「自分には関係ない」「まだ痛くないから大丈夫」と、「知らずに放置」してしまうことが最も危険です。

親知らずについて正しい知識を持ち、ご自身の状態を把握することが、トラブルを未然に防いだり、早期に対処したりするための第一歩となります。

中原志保からのアドバイスとしては、まずは「怖がらずに、歯科医師に相談する」ということです。
レントゲンを撮ってもらい、ご自身の親知らずが今どんな状態で、将来どんなリスクがあるのか、そしてどんな選択肢があるのかを、専門家と一緒に確認しましょう。

親知らずに限らず、ご自身の歯としっかりと向き合い、適切なケアを続けることが、生涯にわたるお口の健康、そして全身の健康へと繋がっていきます。
この記事が、皆さんの親知らずへの理解を深め、より良い選択をするための一助となれば幸いです。

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