おやつの与え方で差がつく!子どもの虫歯リスクを下げる間食の工夫

甘いものは控えているつもりなのに、歯科健診で子どもの虫歯を指摘されてしまった。
「おやつを見直して」と言われても、何から変えればいいのか迷いますよね。

歯科医師で口腔ケアライターの中原志保です。
先にお伝えすると、虫歯リスクを大きく左右するのは、おやつの中身以上に「いつ、どんなふうに食べるか」です。

この記事では、今日から変えられるおやつの与え方と、選び方・飲み物のコツをお伝えします。

虫歯リスクを左右するのは、おやつの「量」より「回数」

食べるたびに、口の中は歯が溶けやすい状態になる

糖分を含むものを口にすると、歯の表面についた歯垢(プラーク)の中の細菌が糖を分解して酸をつくります。
この酸で歯の表面のミネラルが溶け出すことを「脱灰(だっかい)」といいます。

とはいえ、食べるたびにすぐ虫歯になるわけではありません。
唾液には酸を中和し、溶け出したミネラルを歯に戻す働きがあり、これを「再石灰化」と呼びます。
口の中では、この脱灰と再石灰化が一日じゅう綱引きをしています。

食べてから数分で口の中は酸性に傾き、唾液の力で元に戻るまでには数十分から1時間ほどかかるといわれます。
問題になるのは、戻りきる前に次のひと口が来てしまうことです。
歯が修復される時間がなくなり、少しずつ脱灰が勝っていきます。

回数を増やしたら虫歯が増えた、という研究

厚生労働省の情報サイトe-ヘルスネットの「甘味(砂糖)の適正摂取方法」では、スウェーデンで436名を対象に行われた研究が紹介されています。
砂糖を含むお菓子を食事のときだけ与えた時期に比べ、食事と間食に分けて回数を増やした時期のほうが、虫歯が増えていたそうです。

同じページには、虫歯のリスクを下げるには砂糖の総量を減らすことに加えて、糖分を含む食品や飲み物をとる「回数」を減らすことが大切だとも書かれています。
「甘いものを一切あげない」と頑張るより、「回数を絞る」ほうが現実的で、効果も期待できるということです。

乳歯は大人の歯より酸に弱い

子どもの歯には、大人とは違う弱点もあります。
日本歯科医学会がまとめた「子どもの食の問題に関するよくある質問と回答」によると、乳歯は永久歯に比べて硬さが低く、酸に対する抵抗力も弱いため、虫歯になりやすく進行も速いとされています。

生えたばかりの永久歯も、まだ表面が十分に硬くなっていません。
小学生のうちも油断はできないと、私は診療室で何度も感じてきました。

今日から変えられる、おやつの「与え方」

時間を決めて、1日1〜2回に

いちばん効果が大きいのは、おやつの時間を決めることです。
目安は1日1〜2回で、食事とおやつのあいだは2時間ほど空けるとよいでしょう。
保育園でも、1〜2歳児は午前と午後、3歳以上は午後に1回というリズムがよく見られます。

年齢の目安おやつの回数時間帯の例
1〜2歳1日2回10時ごろと15時ごろ
3〜5歳1日1〜2回15時ごろ(活動量が多い日は午前にも)
小学生1日1回帰宅後の決まった時間

先ほどの日本歯科医学会の資料でも、間食は時間と量を決めて与えるよう説明されています。
「3時になったらおやつ」と決まっていると、子どものほうも「今はその時間じゃない」と受け入れやすくなります。

「だらだら食べ」「ながら食べ」をやめる

袋ごと渡してテレビを見ながら食べる。
ソファで少しずつつまみ続ける。
こうした食べ方は、1回のおやつが30分、1時間と長引き、口の中が酸性のまま過ぎていきます。

おやつはお皿に食べる分だけ出し、テーブルについて食べるのがおすすめです。
量が目で見えるので、食べすぎも防げます。
ドライブ中や買い物中にお菓子を少しずつ渡す習慣も、実は回数を増やす原因になりがちです。

寝る前・寝ながらの飲食は避ける

眠っているあいだは唾液の量がぐっと減り、口の中を洗い流す力が弱まります。
寝る直前に甘いものを食べたり、寝ながらジュースやミルクを飲んだりすると、糖分が長く歯にとどまってしまいます。

夕食後に何か食べたときは、そのあと必ず歯みがきをしてから寝る。
これだけは家庭の決まりにしておくと安心です。

虫歯になりにくいおやつの選び方

おやつは「小さな4回目の食事」と考える

幼い子どもは胃が小さく、3回の食事だけでは必要な栄養をとりきれません。
日本小児歯科学会の「こどもたちの口と歯の質問箱」でも、1歳児のおやつは食事を補う「補食」として必要性が高いとし、おにぎりやパン、いも類をすすめています。

「おやつ=お菓子」と考えず、足りない栄養を補う小さな食事と捉えると、選ぶものが自然と変わってきます。
市販のお菓子を出す日は、ビスケットやせんべいに牛乳や麦茶を組み合わせるのがよいとされています。

口に長く残るもの、長くなめるものは要注意

同じ甘いものでも、虫歯のなりやすさには差があります。
気をつけたいのは、歯にくっつきやすいもの、そして口の中に長くとどまるものです。

分類おやつの例理由
選びやすいおにぎり、ふかしいも、チーズ、ゆで卵、小魚、果物砂糖が少ない、または食事に近い
時間と量を決めてビスケット、せんべい、プリン、アイス砂糖は含むが短時間で食べ終わる
控えめにキャラメル、グミ、あめ、ラムネ、菓子パン歯にくっつく、または長くなめる

あめやキャラメルは、1粒が小さくても口の中に甘さが長く残ります。
ひと袋を何度にも分けて食べるより、決まった時間に少し食べて終わるほうが、歯にとってはずっと負担が軽くなります。

和菓子づくりが趣味の私としては少し寂しいのですが、あんこも砂糖をたっぷり含むおやつです。
子どもと一緒に楽しむなら、だらだらつまむのではなく、おやつの時間にお茶と合わせて出すのがおすすめです。

キシリトール製品は表示を確認して上手に

キシリトールは、虫歯菌が酸をつくる材料にならない甘味料です。
日本小児歯科学会も、キシリトールは虫歯になりにくいとする一方で、商品によっては砂糖が含まれているものがあるため成分表示を確認すること、食べすぎるとおなかがゆるくなることがある点に注意を促しています。

「キシリトール入り」と書いてあっても、砂糖が一緒に入っていれば意味が薄れます。
パッケージの原材料名をひと目確認する習慣をつけておきましょう。

見落としがちな「飲み物」の糖分

ジュースや乳酸菌飲料、野菜ジュースにも糖は入っている

おやつには気をつけていても、飲み物は見過ごされがちです。
果汁100%のジュースや乳酸菌飲料、体によさそうな野菜ジュースにも糖分は含まれています。
日本小児歯科学会も、野菜ジュースのだらだら飲みは避けるよう呼びかけています。

飲み物は食べ物より手軽に口に運べるぶん、回数が増えやすいのが困りどころです。
ふだんの水分補給は水か麦茶にして、ジュースはおやつの時間に「おやつの一部」として出すと区別がつきます。

イオン飲料は普段の水分補給に使わない

意外な落とし穴がスポーツドリンクなどのイオン飲料です。
日本小児歯科学会は、イオン飲料が酸性で、歯が溶けやすいとされる水準の酸性度であることを指摘しています。
そのうえで、激しい運動や大量に汗をかいたとき以外は水を飲ませること、寝る前や寝ながら与えないことをすすめています。

体調を崩したときに飲ませたイオン飲料を、治ってからも欲しがって続けてしまう。
診療室では、そんなきっかけで前歯に虫歯ができた子を何人も見てきました。
脱水が心配なときは経口補水液を使い、元気になったら水やお茶に戻すようにしてください。

家族みんなで続けるための工夫

食べたあとは水かお茶、そして歯みがき

おやつのあとは、水やお茶を飲むか、口をゆすぐだけでも口の中に残った糖分を減らせます。
外出先で歯みがきができないときも、これならすぐに実行できます。

家にいるときは、おやつのあとにも歯みがきを習慣にできると理想的です。
毎回が難しくても、寝る前の仕上げみがきだけは大人がていねいに行いましょう。

祖父母や周りの大人とルールをそろえる

親が時間を決めていても、祖父母の家に行くと好きなだけお菓子が出てくる。
よく聞く話で、私の友人にも「孫の喜ぶ顔が見たくて、ついあげてしまう」という人がいます。

気持ちはよくわかりますが、子どもにとっては同じ1日です。
おばあちゃんの家でも「おやつは3時に1回」と、ルールを共有しておきましょう。
祖父母の側から「甘いもの以外で喜ぶものは何?」と親に聞いてみるのもよいと思います。
焼きいもやおにぎりを一緒に作る時間は、お菓子以上に子どもの記憶に残るものです。

買い置きを減らし、おやつを「ごほうび」にしない

日本歯科医学会の資料では、お菓子を好きなときに好きなだけ与えると空腹感が生まれず、食事の量が減ってしまうことにも触れ、家にお菓子を多く買い置きしないよう助言しています。
手の届くところにお菓子があると、子どももつい欲しくなるものです。

もうひとつ、泣きやませたいときや頑張ったごほうびにお菓子を使うのも、できれば控えたいところです。
「特別なもの」になるほど、子どもはお菓子を欲しがるようになります。
ほめるときは言葉やハグ、一緒に遊ぶ時間など、食べ物以外のごほうびを選んでみてください。

まとめ

子どもの虫歯を防ぐうえで効いてくるのは、甘いものを完全に禁止することではなく、糖分が口に入る回数を減らすことです。

  • おやつは時間を決めて1日1〜2回にする
  • だらだら食べ、ながら食べ、寝る前の飲食を避ける
  • お菓子だけでなく、おにぎりやいも、果物なども選ぶ
  • ジュースやイオン飲料をふだんの水分補給にしない
  • 食べたあとは水かお茶、寝る前は仕上げみがき

おやつの時間は、子どもにとって一日の楽しみのひとつです。
ルールがあると、かえって親子で安心して楽しめるようになります。
全部を一度に変えなくてかまいません。
まずは「おやつの時間を決める」ことから始めてみてくださいね。